元参議院議員 田中しげる

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[会議録]田中茂 災害対策特別委員会(参議院) 2015年6月17日
会議録 2015/06/17

189-参-災害対策特別委員会-5号-2015年06月17日-初版

田中茂君

日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。

今日は、火山災害に対する一般質問ということで質問をさせていただきます。

先ほど来出ておりますが、浅間山の噴火、私も、昨日午前十一時のニュースで、朝九時過ぎ、地元の観光関係の人から、浅間山から灰が降ったとの連絡があり、その後もう一件同様の連絡があり、浅間山の噴火を発表したとのことがニュースでありました。

現地は雲が掛かって視界が悪く、噴火しているかどうか分からない状態なので、噴火した模様ということでありました。

気象条件などにもよると思いますが、噴火したかどうか、地元住民の通知がなければ分からなかったわけであります。

地元の監視がいかに重要かということを示した一例だとも思っておりますが、そこで質問させていただきます。

日本には百十の火山がありますが、これはおおむね過去一万年以内に噴火した火山及び活発な噴火活動のある火山の数ということであります。

そのうち、その百十のうち、五十火山については常時警戒、監視体制、これは二十四時間体制ということであると承知しております。

その中に浅間山もあるわけですが、今回は噴火の有無を地元住民の第一報に頼ったわけであります。

五十火山の監視に不安を持たざるを得ないわけでありますが、そこで、残りの六十の火山について、現時点での監視体制はどうなっているのか、危険がないということなのか、お聞かせいただけませんでしょうか。

政府参考人(西出則武君)

 全国百十の火山のうち、今御案内のとおり、四十七プラス新たに付け加える三山を含めて五十の火山については、常時監視体制を整え、また整えつつあるところでございます。

その一方、それ以外の六十の活火山についてでございますけれども、これらについては、全国の地震活動の監視のために展開している地震計のネットワークを用いまして、火山周辺の地震活動を監視しておるところでございます。

また、現地に気象庁職員が出向いて計画的に調査観測というものも行っております。

その場合に、火山活動の活発化が見られる場合においては、臨時に地震計の増強でありますとか現地調査を行うなど、監視体制を強化することとしているところでございます。

今後とも、気象庁では、全国の活火山の活動をしっかりと見てまいりたいと思います。

田中茂君 

先ほども言いましたが、地元の監視がいかに重要か、浅間山の一件を見ても分かるんですが、今回、火山情報連絡員制度というものを整備するということでなっておりますが、是非ともその辺は期待したいと思っております。

そこで、次に質問させていただきますが、今お配りさせていただいている五月二十五日の福岡管区気象台・鹿児島地方気象台と、五月二十二日から二十八日の週間火山概況資料をお配りしておりますが、非常にこれ、私見まして、先ほどちょっとお話しされていた機動調査班の方が書かれた部分が二十五日だと思うんですが、大変興味を持って読まさせていただきました。

先日も群馬でひょうが降って突然突風が吹き荒れ相当な被害が出ましたが、その際にも機動調査班が出ていたと記憶しております。

そこで、この現地調査を行う機動調査班、もちろん口永良部島でも機動調査班が出ておったわけですが、火山の調査班はどのような基準で選ばれ、何人体制で行われているのか、また機動調査班の現地調査の意義を教えていただけませんか。

政府参考人(西出則武君) 

機動調査班、火山の場合には、気象庁の、東京でありますとか、あと札幌、仙台、福岡の各火山監視・情報センターに人員を配置してございまして、その実際に現地に派遣する基準は、活動状況に応じ、人数もその状況に応じてでございますが、基本的には複数の人間が参るということにしております。

現地調査の意義でございますけれども、火山の場合には、火山活動が活発化した場合など、現地での調査を通じて火山の状況をより詳しく把握するためという目的で機動観測班を派遣し、現地で観測に当たらせております。

例えば、口永良部島につきましてですけれども、昨年八月三日の噴火以降、噴火警戒レベルを三に引き上げたことから、火山活動をより的確に把握するため、機動班により随時観測を強化しておりました。

さらに、今年の三月二十四日から二十七日にかけて火映という、噴気、噴煙に火口内の熱い状況が赤く映るという、その火映という現象が観測されましたので、今度は機動班を現地に常駐させまして監視を強化しておりました。

五月二十九日の噴火以降も、機動観測班により随時、上空からの火口観測又は船上からの火山ガス観測などを行っているところでございます。

なお、機動観測班は、火山活動の状況について現地で地元自治体や住民への説明も行っているところでございます。

今後も引き続き、現地の監視を行うとともに、地元住民の方々に適時に説明をしてまいりたいと考えております。

田中茂君 

これを見ますと、確かにその口永良部島での活動、観測、機動調査班、機動観測調査班は結構いろんなことで詳しくやっていらっしゃると、そう思っております。

特にこの赤線を引いた部分なんですが、先ほども火映とおっしゃったんですが、昨日も浅間山で火映が超感度カメラで映像として映ったわけですが、そういう状況があったわけですね、この段階で。

これは二十五日です。

その後の週間のこのお配りしたやつは、二十二日から二十八日、ちょうど噴火の前日ですね、その二十八日にこれ発表されている。

これを見ますと、あと、その下にも、二十二日から二十五日にかけて風下側で明らかに感じる臭気が認められたとも調査班のレポートであるわけです。

もう一つ、これは線を引いていませんが、二酸化硫黄の放出量、一日当たり五百トンから一千トン、前回十七日が一千二百トンとやや多い状態でしたと。

先ほどちょっとお話がありましたが、今現在が千二百トン、二酸化硫黄の放出量が、おっしゃっていましたですね。

この段階で、こういう状況で、週間の方もそういう状況を説明されています。

まず、こういう中でなぜ警戒レベルを上げなかったのか、お聞かせいただけませんでしょうか。

今、この段階では三ですね。せめて四にレベルを上げることはできなかったんですか。

政府参考人(西出則武君) 

噴火警戒レベルとそれに伴う防災対応については、各火山の特性を踏まえて、地元の防災協議会において協議して定めておるところでございます。

口永良部島では、ここにあります五月二十三日になって島の直下を震源とする震度三の火山性地震が発生しました。

そのため、噴火警戒レベルの引上げについて、口永良部島に詳しい火山専門家や地元自治体と直ちに詳細な検討を行いました。

その結果、島内の浅い場所、二キロより浅いところというイメージでございますけれども、を震源とする有感地震がこの後二十四時間以内に複数回発生した場合には警戒レベルを四にしようということと、昨年八月の噴火と同程度の噴火が地震の発生なくして発生した場合には、その後の噴火の規模の拡大の可能性も十分にあるということを考えて警戒レベルを五にすると、そういう考え方を整理しまして、同日、地元の火山防災協議会に説明し、共有するとともに、住民説明会を実施しました。

結果的には、五月二十三日以降、有感地震が再び発生することがありませんでしたが、二十九日九時五十九分に噴火したことから、火砕流の状況等を把握して、直後の十時七分に噴火警戒レベルを五とした噴火警報を発表したところでございます。

田中茂君 

今回は人的被害、やけどの方一人除いて被害者何も出ることがなく、また全島民の避難が無事終わったということもあり、噴火予知ができなかったことは問題になっておりませんが、事前の避難が必要だったという指摘もあります。

そこで、警戒レベルの上げ下げの判断は誰がどのようにして行っているのか、お聞かせいただけませんか。

政府参考人(西出則武君) 

噴火警戒レベルを導入した火山につきましては、当該火山の過去の噴火事例等に基づきまして、火山専門家の御意見も聞きながら地元と協議をしまして、火山性地震の発生回数や地殻変動の有無などについて火山ごとに各レベルの基準を設定しております。

火山性地震の発生回数等があらかじめ定めましたこの基準に達した場合には、若しくはそれに近づいた場合には、火山専門家の御意見も聞きながら、速やかにレベルを引き上げることとしております。

活動が低下してそのレベルを引き上げる前の火山活動状況になった場合には、同様に火山専門家の御意見を聞きながら、レベルを引き下げておるところでございます。

今後とも、適切なレベルの運用に努めてまいりたいと思います。

田中茂君 

このレポートを見ますと、報告書見ますと、一応火山専門家というか、東京大学の理学系研究科、京都大学の防災研究所及び屋久島の人たちが相談をして決めると。

そういう中で、二〇一四年八月三日と同程度の噴火の可能性、そして爆発力が強い噴火や規模の大きな噴火に移行する可能性をもうここで言及されているわけですよね。

だったら、せめてレベル一つ上げるぐらいの準備があってもよかったのではないかと私は思うんですが、この件については別の機会でまた質問させていただきます。

次に質問させていただきますが、この同じ解説情報で、先ほども言っていました機動調査班の実施した現地調査の中に、臭気について触れておられます。

この臭気というのは、私、非常に大事ではないかと思うんですね。

有珠山の場合も事前避難が非常にうまくいった例がありますが、あのとき、北大の岡田教授でしたですか、が臭気を非常に感じたと、実際現地見て、そういう亀裂とか割れ目が出ていたと、そういう話もされていたと記憶しておるんですが、そういうふうに現地に行かなければ分からないというのがあるわけで、何度も行かなければ比較もできないと。

つまり、今回の浅間山も同様なんですが、現地観測が極めて重要だと、そう思っております。

臭気に限らず、現地観測の重要性をどう考えておられるのか、お聞かせいただけませんか。

政府参考人(西出則武君)

御指摘のとおり、五月二十五日発表の解説情報において、現地観測の結果を踏まえて、風下側で明らかに感じる臭気が認められると、こう記述しているところでございます。

火山活動を正確に把握するためには、各種の観測機器によるデータの収集とともに、火山活動が活発化した場合等には、直接現地に出向き、火山の状況をより具体的に把握していくことが極めて重要です。

そのため、気象庁では、火山活動が活発化した場合等においては、機動観測班を現地に派遣し、火山ガス等の観測を行うとともに、ふだん火山に接している地元の火山の関係者から状況を聞き取るなどをしております。

今後とも、現地での観測の重要性に鑑み、適時適切に機動観測を実施してまいりたいと思います。

田中茂君

今、ちょっと話しました、有珠山の噴火予知についてちょっと質問させていただきます。

二〇〇〇年三月三十一日、町民やマスコミが見守る中で有珠山が水蒸気爆発をしたわけであります。

有珠山付近の危険地域の住民一万人余りですか、既に二十九日に発表された気象庁による緊急火山情報を受けて避難していたとのことでありました。

この発表は、北海道大学有珠火山観測所からの百四十四時間以内に噴火するとの予告を受けて行われたと、そのように理解しております。

当時、北海道大学の、先ほど言いましたが、地震火山研究観測センターの岡田弘教授による会見が随時行われたとのことで、つまり、有珠山にある北大観測センターの予告により、住民が被害に及ばなかったわけであります。

火山研究は、火山に密着した研究者の調査がいかに重要であるかを証明したのではないかと、そう思っております。

いわゆるホームドクター的な火山研究者の存在が大事ではないかと、そういうふうに思うわけですが。

もちろん、規模でいえば、有珠山が一万人と、今回の口永良部島は百三十七人でありましたので、一つの島と地域が限定されており、その意味でも有珠山のケースとは異なるとは、そう承知しております。

また、避難勧告が地域住民に負担を掛けることであり、間違った場合のことを考えると、極めて困難な決断であることは十分理解しております。

有珠山ではなぜ噴火予知ができたのか、そして、実際、気象庁は避難勧告を出すことができたのか、ほかに過去の事例はあるのか、教えていただけませんか。

政府参考人(西出則武君) 

先ほども申しましたように、活動を判断するにおいては過去の事例というのが非常に重要でございまして、有珠山の場合には、人に感じるような火山性地震が多発したときには、過去には噴火しているという事例、経験が数多くございました。

平成十二年三月の有珠山の噴火においても、四日前から体に感じる地震を含め火山性地震が多数発生しており、今申しました過去の知見から噴火の可能性が高いと判断して、噴火の二日前に緊急火山情報を発表し、住民等約一万五千人が事前に避難しております。

他の事例といたしましては、浅間山でございまして、平成二十一年二月の浅間山の噴火では、火山性地震の増加や山体の膨張を示す傾斜変化がございまして、噴火警戒レベル三の火口周辺警報を発表した翌日に噴火が発生しました。

一方で、火山全体に関する知見、個々の火山に関するデータの蓄積等の科学的水準から火山活動の変化があった場合に、噴火に至るか否かの判断が困難な場合もあるというのが事実でございます。

今後、噴火地に関する研究の成果を取り入れまして、観測データを着実に蓄積して、より適切な火山活動の評価を行ってまいりたいと思います。

田中茂君 

今回は、口永良部島では百三十七人ですか、一万人とか一万五千とか人が多い場合には避難というのはなかなか時間が掛かるし、なるべく余裕があった方がいいわけで、一日でもあれば。

昔、伊豆大島ですか、一九八六年、大島の三原山の場合は、噴火から十三時間四十分、たった十三時間四十分ですか、それで一万三千人を避難させたという例もありますが、それはまれな例だと思います。

そういう場合で、とにかく一万人というのはかなり多い数で、人数が多くなればなるほど避難には時間が掛かるわけですから、なるべく避難勧告というのは速やかに事前に上げていただければと、そう思っております。

次に、その避難生活について、先ほど仁比先生もちょっと触れておられましたが、これは次の法案に関係するので、この場では若干ちょっと違うのかもしれませんが、多分、避難生活は長引く可能性もあるのではないかと思うわけです。

というのは、GPSによる観測では、去年暮れからこれまでに口永良部島の地下には四百万立方メートル前後のマグマがたまっていると、そういう可能性があるとのことで、今回の噴火で噴出したマグマの量は百万立方メートル以下と見られているということを聞いております。

火山噴火予知連絡会は、口永良部島ではマグマの大半が地下に残っていると考えられ、今後も先月の噴火と同じ程度の規模の大きな噴火が起きるおそれがあり、火山活動が長期化する可能性があると、そう言っております。

過去においても、火山噴火による避難生活は長引いているわけであります。

先ほど言いました一九八六年の十一月の伊豆大島三原山の噴火では全島避難が行われて、避難した約一万人の島民の方、この方たちも避難生活一か月に及んでおります。

また、二〇〇〇年九月の三宅島の噴火、これも全島避難指示により約三千八百九十五人、この方たちも四年五か月避難されております。

あと、これは若干違うと思うんですが、東日本大震災また原発事故によって避難生活も四年三か月になるわけです。

避難者にとって何が一番大事かというと、自分の生まれたふるさと、育ったふるさとから離れることがどんなにつらいか、自分たちのアイデンティティーの原点になっているようなその場所から離れる、それも数年にわたって離れるということ、これは政治家にとっても、そういう状況をつくったというのは最大の屈辱だと思わなくちゃいけないと、私はそう思っております。

そういう中で、今回の法律改正、火山対策ではありますが、避難計画の中には長期化する避難生活の在り方も加えるべきではなかったのか、そう思っております。

それを別途とするなら、今後はどのように考えていくのか、大臣にこの辺をお聞かせいただけませんでしょうか。

国務大臣(山谷えり子君) 

活動火山対策特別措置法の一部改正法案では、火山の特性に応じた具体的な避難計画を地域防災計画に位置付けることを義務付け、その策定を強力に推進することとしております。

この避難計画というのは、人的災害防止のための計画であり、噴火時の情報伝達体制や緊急の避難場所やそこへ至る避難経路、避難手段など、まずは命を守るための事項を定めることとしています。

一方で、委員御指摘のとおり、火山災害、一たび噴火しますと避難生活が長期化する特徴がありまして、その対策も非常に重要だと考えております。

火山噴火により避難生活が長期化した場合の対策については、過去の災害の教訓を踏まえまして、今後とも関係省庁や地方公共団体と連携の上、適切に対応するとともに、改正法案で創設する基本方針、基本指針にその在り方について位置付けることを検討してまいりたいと思います。

田中茂君 

時間が来ましたので、私の質問を終わりにします。ありがとうございました。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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