前参議院議員 田中しげる

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[会議録]田中茂 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(参議院) 2015年8月19日
会議録 2015/08/19

189-参-我が国及び国際社会の平和安全…特別委員会-10号-2015年08月19日-初版

田中茂君

日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。

小池先生の後、ちょっとやりにくいんですけれども、早速質問をさせていただきたいと思います。

この安保法制の論議、この法案、戦争法案だとか、集団的自衛権を認めると戦争になる、そのようなレッテル貼りがありますが、しかし、集団的自衛権による軍事同盟の強化は反対に戦争のリスクを減少させ、国際社会の安定に寄与すると、これは学術的にも認められているわけであります。

我が国の平和と安全は、専守防衛の範囲内の抑制的集団的自衛権と、周辺国との首脳会談の実施など地域の信頼醸成措置の強化にも努め、この両輪によって担保されるべきであると考えております。

集団的自衛権は、軍事技術の高度化、発達の度合いと国際的相互依存の深まりに応じた自衛権の進化形であると考えておりますが、冷戦以後、国際情勢は時々刻々と変化しており、自衛権の形が進化すれば安全保障の概念も変化することは当然であります。

例えば、米国、カナダ及びEUにおけるNATOの場合は、集団的自衛権による集団的チェックが働くため、かえって個別的自衛権の行使よりも極めて抑制的なものへと変化しつつあります。

さらには、明示的に集団的自衛権を持つ同盟を宣言し、協調することで戦争を起こさない抑止力を強化させ、紛争予防と信頼醸成の役割を担っている一面もあります。

そこで質問なんですが、冷戦時代と冷戦後における欧州のほぼ全域の国々が加盟している集団的自衛権を伴う軍事同盟であるNATOの安全保障に対する役割も変化したと思いますが、その変化について日本としてどのような分析をされているのか、お聞かせください。

国務大臣(岸田文雄君)

まず、NATOですが、これは武力攻撃に対する相互援助を約束する集団防衛のための機構でありますが、まず冷戦下においては、集団的自衛権の行使により東側陣営の脅威からNATO加盟国を守ること、これを主たる役割としておりました。

そして、冷戦後ですが、NATOは、引き続き様々な脅威が存在する安全保障環境に対応するため、集団防衛を中核的任務と位置付けています。

そして、それと併せて、ボスニア、アフガニスタン等における平和維持、安定化のための活動、さらにはソマリア沖海賊対処活動等を通じて、民族紛争、地域紛争やテロとの闘いにも対応してきており、かかる任務も中核的任務と位置付けていると承知をしております。

田中茂君

今大臣がおっしゃったように、様々な面で安全保障の概念というものは変わっていっていると思っております。

役割も当然ながら変化してきております。

さらに、ワルシャワ条約機構が消滅した後、NATOには一九九九年から旧東欧の国々が加盟し、二〇〇四年にはバルト三国、二〇〇九年にはクロアチア、そしてアルバニアも参加し、現在は二十八か国が加盟しているはずです。

今年のNATO軍事演習にはNATO加盟十四か国に加え、フィンランド、スウェーデン、ジョージアも参加し、ロシアへの牽制、抑止力となっているのも事実であると考えております。

このように、軍事同盟イコール集団的自衛権は紛争抑止力にとどまらず、今や軍事同盟イコール集団的自衛権は政治同盟イコール政治的、経済的安定性強化へとつながっていると、そう考えております。

簡単に言えば、NATO加盟国は集団的自衛権でお互いが助け合い、小国連的な体制になりつつあると、そう思っております。

現代において、米国のエール大学のラセット教授が民主主義による平和と名付けたように、民主主義国家間での紛争はない、まれであると言われています。

集団的自衛権も含む同盟国として緊密な関係を維持している国同士が戦争を行うことは、まずあり得ません。

軍事同盟を結べば結ぶほど、同盟関係のきずなが増えれば増えるほど戦争のリスクが減り、国際政治の平和的安定に強く影響するという米国の国際政治学者による有名な研究もあります。

ただ、アジアでは皆さん御存じのように欧州とは異なる風土と歴史があり、また多民族、宗教間における終わりなき対立もあり、おびただしい強大な帝国、王国の興亡の歴史もあります。石油及び鉱物資源の獲得等、多種多様な要因が複雑に絡み合っており、いわゆるEU、NATOのように単純に統一、簡単にはできないと、それも理解しています。

そこで、アジアにおいてNATOと同等の機能を有する機構は今も言いましたように現段階では非現実的とは思いますが、将来の方向性として、日本政府としてはいかなる考えを抱いておられるのか、特に豪州、フィリピンなどの米国の同盟国との間で日本はどのような安全保障関係の強化を考えるべきなのか、お聞かせいただきたいと思います。

国務大臣(岸田文雄君)

まず、委員御指摘のように、アジアにおきましては政治体制、さらには経済の発展段階もかなり多様化しております。

こうした多様性を有するアジアにおいて、少なくとも現時点でNATOのような枠組みを設立する、これは現実的ではないと考えます。

そこで、アジアにおいてこの安全保障をどう考えていくかということですが、まず一つは、我が国として、日米同盟を基軸とするわけですが、アジアにおきましては、例えば東アジア・サミット、EASですとか、ASEAN地域フォーラム、ARFですとか、拡大ASEAN国防相会議、ADMMプラスですとか、こうした様々な対話の枠組みも現実に存在いたします。

こうしたものを重層的に活用していく、これをまず考えなければいけませんし、それと併せて、今委員が御指摘になられました、日米同盟を強化するとともに、豪州ですとかASEAN諸国を含む世界のパートナーと信頼及び協力関係を深めていく、こうした関係を築いていく、これが重要だと思います。

多国間の現実にある枠組みと、今申し上げた世界のパートナーとの信頼関係、協力関係の構築、これを重層的に組み合わせていきながら安全保障を考えていく、これがアジアにおいては現実的な対応ではないか、このように考えます。

田中茂君

今大臣いろいろと御説明いただきましたが、今現在、アジアでは、日本、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド、韓国の五か国が米国と安全保障条約を個別に締結し、いわゆるハブ・アンド・スポークの同盟構造にあると言われております。

同盟国のあつれきが減少し、東アジア領域における政治的安定へと進化して、同盟国間での軍事費分担により日本が軍事大国化せず、安全と平和につながるであろうことは容易に想像もできます。

先ほど大臣おっしゃいましたが、現在、アジアには対話と経済機構、いわゆる、先ほどもおっしゃいましたが、EASもあればAPEC、PECC、PBECもあればAPPF、さらには包括的な安全保障の対話の枠組みとしてARFがあり、このARFに関しては北朝鮮と中国が参加する場合は対話が成立しないという批判もありますが、その枠内に入れてARFを強化することも紛争予防と信頼醸成へとつながり、地域の政治的、経済的安定、そして繁栄にも寄与すると考えております。

これに日本は積極的に関わっていくべきであります。

集団的自衛権限定行使容認による同盟の強化とともに、周辺の国との対話と信頼醸成を強化することももちろん重要であります。特に、最近激化している国際テロという新たな脅威に対して、その対応も含めて、アジア太平洋にある既存の国際機関、今先ほど大臣もおっしゃったように、その既存の機関、そして組織を進化、発展させていく、そのためにも日中韓定期首脳会談開催の重要性がより一層強まっていると、そう思っております。

そこで、質問なんですが、日中韓首脳会談へ向けての現況についてお聞かせください。

また、つい先般ARFが開催されましたが、集団的自衛権限定行使を認める一方で、将来に向けてこのような取組の積極的関与が極めて重要になると考えております。

今後の日本の戦略上どのようなスタンスで臨んでいくのか、現状認識と今後の政策についてお聞かせいただきたいと思います。

国務大臣(岸田文雄君)

まず、前半の日中韓のサミットの見通しですが、まず、今年三月に日中韓の外相会談、久しぶりに開催することができました。

その際に、日中韓サミットにつきましては最も早期で都合のよい時期に開催することで一致をしたということでありました。

そして、その後、これは今月六日ですが、マレーシアにおきまして日韓外相会談を開きました。

日韓外相会談の席で尹炳世韓国外交部長官との間で、日中韓サミットを年内の早期開催を目指して協力をしていく、このことを確認いたしました。

こうした日中韓サミット開催に向けて議論を続けているわけですが、サミット、この三か国の首脳間の対話、極めて重要な対話であると認識をしております。

是非、こうした積み重ねの延長線でできるだけ早期に開催にこぎ着けていきたいと考えます。

そして、後半の御質問、ARFの御質問でありますが、多様性を特徴とするこのアジア太平洋地域における安全保障の向上、あるいは信頼醸成の促進、こうした観点から重要なフォーラムであると認識をしております。

そして、このARFについては、委員も御指摘になられましたが、北朝鮮が参加している対話の枠組みであるというのが一つ特徴として挙げることができます。

そして、近年は、安全保障のみならず、海洋ですとか災害救援ですとか、テロあるいは国境を越える犯罪対策、あるいは軍縮・不拡散、こうした分野においても取組が行われている、こういった点を我が国としては評価をしています。

今月六日に開かれましたマレーシアでの第二十二回ARF閣僚会合におきましても、南シナ海あるいは北朝鮮問題を始めとする地域情勢について我が国の立場を明確にする、こうしたことも行いましたし、日本の安全保障政策、現在審議いただいている平和安全法制のこの法案についても説明する、こういった機会となりました。

是非、我が国としましては、引き続きARFを重要なフォーラムと位置付けて、しっかりと貢献をしていきたいと考えます。

田中茂君

先ほど質問でもありましたが、何度か、タイでもテロが行われております。

新たな脅威対策ということで、そういう世界中が一致してその体制をつくっていかなくてはいけないという、こういう時期であります。

日中韓首脳会談がこんなに長い間行われていないというのはこれ異常な事態だと、私はそう思っております。

特に、今回の集団的自衛権限定行使容認に向けて動くのであれば、朝鮮半島有事、台湾有事、あらゆるものも想定したときに、日中韓の首脳同士の定期的な会談というのが、これが今現在行われていないということはこれ致命的な問題でもあると、そう思っております。

だから、この日中韓首脳会談に関しては、あらゆる手を尽くしてでもいいですから開催へ向けて是非とも努力していただきたいと、そう思っております。

先ほど、ラセット教授が民主主義国家間での紛争はないと言いましたが、日本の周辺には残念ながら民主主義とは言えない国があります。

そういう意味では、軍事的危機が高まる可能性は十分あるわけで、今回の法整備による集団的自衛権行使が抑止力となるのは至極当然であると考えております。

従来、政府の解釈は、集団的自衛権は国際法上は保有しているがその行使は憲法上許されないとありましたが、これは、例えば言論の自由が権利はあるけれども行使はできないというそのような論理矛盾を明らかにしているようなものであります。

今回、そういう意味では、この非常識な論理矛盾が、そういう状況であったことを改善されたという意味では私は非常に評価しておりますので、そういう考えを述べて、私の質問とさせていただきます。

ありがとうございました。

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