前参議院議員 田中しげる

しげるレポート | 田中しげるの活動報告ブログ

[会議録]田中茂 法務委員会(参議院) 2015年4月7日
会議録 2015/04/07

189-参-法務委員会-5号-2015年04月07日-初版

田中茂君

日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。

早速質問させていただきたいと思います。

最近増加している高齢者犯罪、万引き、無銭飲食、無賃乗車などありますが、受刑者の高齢化問題についてお伺いいたします。

この問題は過去にも委員の方から何度か質問があったと思いますが、高齢化社会のひずみが矯正施設を取り巻く環境の中で出ているのではと思いますので、再度質問をさせていただきます。

高齢者が繰り返す犯罪の一つに万引きがあります。

法務省平成二十六年版犯罪白書によると、平成二十五年の万引き認知件数は十二万六千三百八十六件で、前年比六・五%減でありました。

この資料一番を見ていただければと思いますが、確かにここ数年、万引き認知件数は減っています。

しかし、平成元年以降最少であった平成四年の六万六千八百五十二件と比較すると約二倍であります。

万引きは、その被害は大きく、一時期書店における万引きが多く、経営が成り立たなくなった店があったことが話題にもなりました。

店の経営を圧迫するほど深刻な問題でもあるわけです。

そこで、万引きの被害総額ははっきりしませんが、ただ、暗数を含めると年間四千六百億円以上という話もあります。

それは二〇〇九年に経産省が発表した商業統計にも出ているようでありますが、実はこれも、検挙されている被害は一割程度にすぎず、残りの九割が検挙されていないと考えられており、実態はその十倍もあるとも言われています。

そこで、万引きの暗数を含まない実際の件数、被害金額など時系列で分析しているような情報があるのか、教えていただければと思います。

政府参考人(辻義之君)

お答えいたします。

警察におきまして把握しております万引きの被害の状況、これは、警察は被害届という形で把握をするわけでございますけれども、警察において把握している万引きの被害は、平成二十六年中、認知件数は十二万一千百四十三件、被害総額は約二十五億六千百八十万円でありまして、前年と比較いたしますと、認知件数で五千二百四十三件減少、被害総額で約一億六千七百九十六万円の減少という状況にございます。

田中茂君

先ほど四千六百億と言いましたけど、暗数が入っていないのでそういう、それでも二十五億六千万ということでありますが、そもそも万引きが軽い罪なのか重い罪なのか、高齢者の場合は何度も再犯を繰り返しているわけでありますが、確かにケース・バイ・ケースと思いますけど、万引きは窃盗罪としてどの程度の罰則なのでしょうか、お聞かせいただけませんでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

万引きは刑法二百三十五条の窃盗罪に該当いたします。その法定刑は、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金となっております。

田中茂君

今御説明あったように、当然ながら万引きはれっきとした犯罪であり、高齢者であろうとも、いろんなケースにもよりますが、重い罰則であると思います。

ですが、代金弁済とか念書、あと示談とかで被害届を提出しない、そういうこともあり、一般の方たちも軽微な犯罪と見ていると思うし、高齢者もそのように感じているのではと、そういうふうに思っております。

そこで、最近ちょっと聞いたことなんですが、軽い気持ちでそういうふうに行っている万引きの呼称について、脱法ドラッグを危険ドラッグと呼称変更したように、そういう軽いものじゃないんだという意味でしょうか、変更を求める声があると聞いております。

それについて御意見をお伺いいたしたいと思います。

政府参考人(辻 義之君)

ただいま委員からございましたような御意見あることは私どもも承知をいたしております。

ただ、万引きという名称につきましては、窃盗の分類の一つとして一般的に用いられており、警察においても犯罪手口の名称に用いているところでございます。

万引きを軽視する風潮があるとの点につきましては、万引きは犯罪であるということについて、関係機関、団体が連携、共同して広報啓発活動を推進し、万引きを許さない社会機運を醸成していくことが重要であるというふうに考えているところでございまして、警察といたしましても、万引きを許さない社会機運の醸成に向けまして、引き続き関係機関、団体と連携して、キャンペーン等の広報啓発活動を推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

田中茂君

確かに、呼称変更することによって防犯、再犯防止がなるとは私も思っておりませんが、先ほどおっしゃったように、周知徹底というのは極めて大事だと思っております。

そういう中で、再犯防止に限って言えば、不正のトライアングル理論というのがありますが、すなわち、動機、正当化、機会という三つの要素がそろった場合に不正が起きやすい。

例えば、高齢者犯罪の場合に当てはめてみると、動機は、生活苦、困窮、寂しさ、誰かに構ってほしい、孤独感という心理的要素があると思うし、正当化は、高齢者だから、弱い立場だから、先行きが不安だから等があるかもしれません。

犯罪を防ぐ、特に再犯防止のためには、まず機会をなくすことも効果的であるとは思います。

ただ、高齢者再犯問題は機会をなくせばいいという、そういう簡単な単純な話ではないというのも理解しております。

高齢者であろうとなかろうと、先ほどもおっしゃったように、万引きは犯罪であり、その対策を徹底することは再犯防止につながっていくと、そう思っております。

そこで、防犯カメラの映像から万引きした客の顔をパソコンに登録しておき、一度店に入ると同一人物かどうかが検知され、警報音やライトの点滅でそれを知らせるような顔認証の技術を使った仕組みもあると聞いております。

昨年は、東京の中古品販売店が万引き犯に対し、盗んだ品物を返さないと防犯カメラの画像をインターネット上で公開すると宣言し、結局、この店は画像を公開せず、犯人も逮捕されました。

この場合、プライバシー侵害の問題もありますが、確かに宣言をすることによって抑止力が効いたということもあると思います。

そこで、振り込め詐欺の場合は、金融庁の指導により、金融機関の対応の強化などを通じ、詐欺の件数減少に効果があったと聞いております。

万引きに関して、警察庁としては抑止力としていかなる指導をされているのか、お聞かせください。

政府参考人(辻義之君)

お答え申し上げます。

万引き防止対策を推進する上では、万引きをさせない環境づくりが重要でございます。

警察といたしましては、関係機関、団体と連携、共同して、万引きをさせない環境づくりを促進するため、委員御指摘の防犯カメラの設置を始め、死角のない商品陳列、従業員による来店者への挨拶、声掛け等の小売店舗における防犯対策の推進を働きかけているところであり、今後とも、関係機関、団体と連携、共同して、万引きをさせない環境づくりを促進してまいりたいと思っております。

田中茂君

是非、防犯の意味ということでカメラ等設置、それは大事なことだと思っております。

ただ、万引きというと以前は未成年者が多かったわけでありますが、平成二十一年に初めて高齢者と未成年者の割合が逆転し、現在は高齢者の割合が最も多くなっております。

これは私の資料を見ていただければと思いますが、資料の二でも書いてあります。

高齢者の占める割合は平成六年の約三・七倍になっており、そのうちの五一・八%が五十歳以上で占めております。

前回委員会で、万引きに限ったわけではありませんが、大臣は、入所受刑者総数に占める高齢受刑者の比率も増加している、全体としても再入所割合も高くなっている、高齢受刑者の再犯防止は重要で喫緊の課題との認識を示されております。

白書では、高齢女性の万引きの背景として、近親者の病気、死去、家族と疎遠、身寄りなし、配偶者などとのトラブルなどを挙げていますが、それにしても高齢女性の万引きが多いと思います。

万引きの再犯は、男性高齢者の再犯率が一四・三%と最も低かったのですが、女性は万引き犯の三七・八%が高齢者であり、さらに高齢女性の場合は再犯率も高く、三七・五%に及んでおります。

大臣は再犯防止が重要で喫緊の課題と申されておられましたが、そうであるなら、高齢女性再犯率の高さについてより詳細な分析がされていると思いますが、是非お聞かせいただけませんでしょうか。

政府参考人(林眞琴君)

委員御指摘のとおり、まず、万引きの検挙人員の中で六十五歳以上の高齢者の割合が上昇しております。

その中でも、女子の場合につきますと、この割合で比較しますと、過去二十年間で約四倍ほどに上昇しているところでございます。

法務総合研究所におきまして、前科のない万引き事犯者の実情について調査したところ、大半の者は、窃盗の前科はないけれども前歴を有していたというような状況でございます。

犯行に至った背景についてでございますけれども、調査によれば、女子の高齢者は、まず男子高齢者との比較におきますと、生活上の困窮よりも、家庭内でのトラブルあるいは対人関係の問題というものを抱えている者が男子に比べ多いという特徴が見られております。

また、再犯の状況でいきますと、女子高齢者は、男子高齢者に比べて窃盗については再犯率が高く、しかも六十五歳以上になって初めて検挙された者の割合を見ますと、これが男子よりも高いというようなことが明らかになっております。

田中茂君

そこで、未成年の万引きなんですが、平成六年に比べると、平成二十五年には四割以上も減少しています。

これはひとえに官民合同の万引き防止活動の成果であると、そう思っております。

それが奏功したと考えておりますが、平成二十二年に、警察庁は万引き防止に向けた総合的な対策の強化についても発表され、業界団体に対し警察への届出の徹底要請を行って、自治体及び学校などの教育機関、PTA、それらを含めた関係機関、団体が密に連携した結果だと、そう思っております。

私自身はこれを評価しており、一つの指針になると考えております。

ただ、未成年者と異なり、高齢者の主な万引き理由は、先ほど来からおっしゃっていましたが、私も話しましたが、孤独などの精神的な面が多いわけであります。

それゆえに、認知症による支払忘れ、身寄りのない孤独感や寂しさ、将来への不安、高齢者ゆえの疾病、収入の減少等々、高齢化社会がもたらす様々な問題であります。

普通の再犯防止ではもう役に立たない状況が生まれていると、私はそう思っております。

まさしく、高齢者による万引き等は、高齢化、今現に我々が経験している高齢化社会の縮図ではないかと、そう思っております。

そこで、刑務所を介護施設のように考えて入りたい、また孤独に向き合うことができないからという理由で万引きするような高齢受刑者もいるようですが、そのような人たちに対して罰則だけでは抜本的な対策にならず、効果も期待できないと思います。

コミュニティーの力が失われている現在、高齢者による万引き等の問題を単なる犯罪問題とせず、高齢化社会のひずみと捉えて、福祉政策や医療、就職、地域社会、共同体の連携等々の総合的問題として捉えるべきだと、そう考えております。

だからこそ、大臣、前回の委員会で、適当な帰り先がない高齢受刑者等で自立した生活ができない者に対し、厚生労働省の事業として、都道府県にある地域生活定着支援センターと連携し、出所後速やかに社会福祉施設への入所、生活保護の受給、福祉サービスを受けられる特別調整に取り組んでいると。

また、高齢出所者は、積極的に雇用していただく雇用主の方々にも協力していただき、矯正施設とハローワークが密接に連携し、働く場所、求人のマッチングも促進し、就労の確保に努めると述べられておられます。

そこで、大臣が述べられたその地域生活定着支援センターと刑務所、保護観察所との連携がいかに機能しているのか、今までに高齢受刑者で何人出所し、何人がセンターのお世話になっていられるのか、現在の状況。

さらに、矯正施設とハローワークが密接に連携しているとおっしゃっていますが、どのようになっているのか、高齢出所者の雇用状況がいかになって就労ができているのか、そもそもこれがうまく機能しているのか。

それらについて具体的にお聞かせいただきたいと思います。

政府参考人(片岡弘君)

お答えいたします。

まずは、高齢受刑者の問題ですが、これは統計上の数字にも特徴が表れております。

例えば、高齢受刑者の仮釈放率ですが、平成二十五年度は三六・一%でありまして、全体平均の五五・二%と比べて低くなっております。

これは御指摘のとおり、引受人がいないなどの釈放後の帰住先や就労先が確保できていないということによるものと考えられます。

そこで、適当な帰住先がない高齢受刑者につきましては、御指摘がありましたとおり、地域生活定着支援センターと連携しまして、刑務所等に収容されている段階から帰住先の確保等の特別調整を行っているところでございます。

この特別調整は、高齢者のほかに障害のある受刑者等についても実施しているところでございますが、平成二十五年度の数字を見ますと、それらを合わせまして六百三十七人について特別調整を終了したという数字が出ております。

その終了の結果ですが、大きくまとめますと、社会福祉施設等の福祉サービス等に移行した対象者が合計四百十九人となってございます。

また、高齢者の就労支援につきましては、なかなか高齢者であることから難しい点がございますが、厚生労働省と連携しまして、刑務所出所者等総合的就労支援対策を実施しているなどの取組を進めているところでございます。

田中茂君

私がその辺詳しくお聞きしたいと言ったのは、確かに高齢者犯罪は無銭飲食も無賃乗車も軽微な犯罪と思っていると思っているんですね。

そこで、だからこそ犯罪を繰り返すと。今後、軽微な犯罪で高齢者を刑務所に入れるのかという声も上がってくると思います。

軽微な高齢犯罪者の対応も今後の課題にますますなっていくと思います。

そういう中だからこそ、このシステムがうまく機能することを私自身強く願っております。

これが将来、極めて大事になってくると思いますので、何とぞその辺、よろしくお願いしたいと思います。

だからこそ、ここで大臣にお聞きしたいんですが、今、地域生活定着支援センターの設立、本当は二十四年にもう地域生活定着促進事業ができたと思っておりますが、そういう様々な対応をされている中でも難しい問題が出てきていると推測いたします。

だからこそ、去年七月に、関係省庁で構成されている再犯防止対策ワーキングチームの下に、法務省、厚労省、警察庁の関係課長を構成員とする福祉・医療的支援タスクフォースを設置したと聞いております。

この点についても、各省庁との連携はどのようになっているのか、現在の状況がいかがなのか、また今後のタイムスケジュールについて、大臣の御見解をお聞かせください。

国務大臣(上川陽子君)

高齢受刑者の方々が増加をしているということ、さらに女性の場合については再犯という形の中で様々な原因、課題があるということについて多角的な対応をしていかなければいけないということの御指摘については、そのとおりだというふうに考えているところでございます。

その中でも、福祉的、医療的な支援ということを必要とする高齢受刑者の皆さん、大変増加しているということでございますが、まだまだその仕組みや体制については追い付いていかないというのも実態でございます。

そして、一人でも福祉的な支援につなげていくための様々なネットワークにおいての取組ということがこれからますます必要になるというふうに考えているところでございます。

御指摘いただきました平成二十六年、昨年七月に再犯防止対策ワーキングチームの中に関係省庁の横断的な福祉・医療的な支援タスクフォース、これが設置されたところでございまして、今年の二月に申合せを行ったところでございます。

この申合せに基づきまして、法務省の中におきましては、刑事施設あるいは少年院におきまして社会福祉士等の配置等を積極的に取り組むということで、この体制の整備に十全に取り組んでいきたいというふうに思っておりますし、また関係機関の連携のための情報の共有というところにつきましても、これについても大変大事なことでございますので、こうした方策につきましては更に力を入れて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

委員長(魚住裕一郎君)

田中君、時間です。

田中茂君

更に高齢化社会が進行することを思えば、もう現段階で抜本的な対応を行わないと更に悪化するおそれがあると、そう思っております。

今大臣がおっしゃったようなプロジェクトチームをしっかりとつくっていただき、将来を見通した、高齢化社会の中でのどういう取組をするのか、それに万全を期していただきたいと、そう思っております。

時間になりましたので、これで終わりにします。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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