元参議院議員 田中しげる

しげるレポート | 田中しげるの活動報告ブログ

リオ・オリンピック
レポート 2016/08/25

   「2020年に東京で会いましょう」のメッセージを最後に、リオ・オリンピックが閉幕しました。それにしても無事開幕できるのかがこれほど心配されたオリンピックもありませんでした。国を代表する大統領の不在、競技施設などの工事の遅れ、ジカ熱感染への不安、ISなどによるテロ、治安問題等々。さらに、ロシアのドーピング問題も開幕寸前までもめました。しかし、始まってみればさしたる問題もなく、ブラジル人というかラテン系特有の大らかさと明るさ、そしてノリのよさで南米初のオリンピックをみごとに成功に導きました。

    オリンピックは4年に一度のスポーツの祭典ですが、獲得するメダルの数はその時々の国力を示すバロメータにもなっています。国力といっても基本的にはどれだけスポーツ振興に力を入れているかということですが、それはとりもなさず国力と考えることもできるでしょう。それ故、国家ぐるみのドーピングなどが問題となるのですが、ことほどさように国の威信がかかっています。

 今大会の日本のメダル獲得数は、金メダルが12個、銀メダル8個、銅メダル21個となり、前回のロンドンオリンピックの38個を上回る史上最多の41個となりました。金メダルの数は世界6位、総メダル数では7位の成績でした。この成績を以前の大会とあわせて表にすると以下のようになります。

<日本の獲得メダル数>

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*順位は金メダルの数

    こうして見ると、リオの成績は素晴らしかったのですが、アテネ大会に比べると金メダルの数が4個も少ないことが分かります。東京大会に向けていいステップとなりましたが、まだまだ道半ばというところでしょうか。

    JOC(日本オリンピック委員会)は東京大会の金メダル数の目標を世界第3位に置いているそうですが、数では大体25~30個ぐらいが目安になるようです。すると、リオ大会の倍以上が必要となります。ただ、野球やソフトボール、空手のように日本が得意とするスポーツの追加が認められましたから、目標のクリアも十分可能ではないかともいわれています。

    日本が世界第3位の金メダルを目標にするならいいお手本があります。それはイギリスです。実際に日本はイギリスを目標に置いてスポーツのすそ野を広げる努力を繰り広げています。イギリスの金メダル獲得数の変遷を見るとイギリスのすごさがわかります。イギリスは1996年のアトランタ大会で金メダル1個と低迷。当時のジョン・メージャー首相が国営の宝くじの収益をスポーツ振興に投入する制度を作り、そのことが今日の結果に結びついているといわれています。とりわけ2012年のロンドン大会を目標に、メダルを取る可能性が高い競技に重点的に強化費を投入してきました。ちなみにロンドン大会以後、リオ大会までの4年間に投入された予算は約458億円といわれます。日本では東京大会まで毎年100億円の予算を要求するそうですから、どうにかこうにか予算だけはイギリスに近づけるかなというところです。

<イギリスの獲得メダル数>

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*順位は金メダルの数

    この表からはイギリスがロンドン大会にピークをあわせ、競技の強化を進めてきたことがよくわかります。また普通は、目標を達成すると次の大会は獲得メダル数が減るものですが、リオに向けても状態を維持してきたことが見て取れます。リオ大会のイギリスの獲得メダル総数67個は、過去100年間で最多でした。

   さて、今回日本が取った金メダルの内訳を見てみましょう。柔道3、水泳2、体操2、レスリング4、バトミントン1となっています。12個の金メダルのうち、日本のお家芸といわれる柔道、水泳、体操、レスリングの4競技で11個となります。実際に、これまでのオリンピックで獲得した金メダルの85%近くがこの4競技によるものです。したがって東京大会で25~30個の金メダルを目標とするなら、この4競技の強化をさらに充実させることが手っ取り早いということになります。ただし、予算を多く取ってもその使い方が旧態依然としたものなら、イギリスのような成功を見ることはないでしょう。イギリスは文化・メディア・スポーツ省所管の「UKスポーツ」が、勝てるかどうか競技の分析を行い、勝てそうな競技に徹底して強化費を投入してきました。古臭い体質が依然として残っている日本に同じようなことが果たしてできるか?・・・。

   さて、任期満了により7月末に参議院議員を辞してから、以前に立ち上げ従事していましたAPNF(アジア・太平洋ネットワークフォーラム)の運営に復職しました。中曽根元総理が創設し、毎年総会が開催されますAPPF(アジア・太平洋議員フォーラム)の発展を側面から支えるとともに、アジア・太平洋の人材交流の促進に努めています。オリンピックもつまるところはスポーツを介した国と国、人と人との交流の場であるように、企業、学校、個人などさまざまな形での国際的な人材交流を図っていきたいと考えております。

 今後とも何卒宜しくお願いいたします。

 ※9月中旬から田中茂のHPを閉じて、一般社団法人アジア太平洋ネットワークフォーラム(APNF)のHPを開く予定です。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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