元参議院議員 田中しげる

しげるレポート | 田中しげるの活動報告ブログ

新年のご挨拶
レポート 2023/01/09

明けましておめでとうございます。
  
本年もよろしくお願い申し上げます。

 昨年は、2月に始まったロシアとウクライナの戦争に、世界中が振り回された1年でした。4日ほどで制圧できると読んだ、プーチン大統領の世紀の大誤算でした。戦争は実質的にはウクライナを支援する自由主義国とロシアの戦いとなり、今年も多くの人命が奪われ、街が破壊されることでしょう。戦争が長引くに連れ、大国の面子が戦争の終結を妨げる最大の要因となることを、改めて理解させられました。それがある限り、戦争は継続されるのでしょう。
 ウクライナの状況を見れば、ロシアの「核」と「資源」、ウクライナの「原子力発電所」の存在は極めて大きな意味がありました。ここでは、「資源」と「原子力発電所」については触れませんが、膠着状態が続いたり、形勢が悪くなったりすれば、ロシアはまた「核」を持ち出すことでしょう。「核」を持ち出すことで西側諸国の直接的関与を拒み、ウクライナのロシア国内への直接的攻撃を阻止するようにプレッシャーを与えることができます。
 現代における核保有国との戦争は、実際に使用するかしないかは別にして、「核」抜きでは考えることはできません。とりわけ日本の場合は中国、ロシア、北朝鮮という核保有国に3方を囲まれています。それに対抗するのにはどうしたらいいのか…。
 以前、このHPでも書きましたが、中曽根康弘先生は、自民党安保調査会副会長の時にフランスのド・ゴール大統領軍事顧問で、核政策に貢献したピエール・マリー・ガロワ将軍と会談しました。彼の「均衡抑止論」に強い関心を持っていたのです。その内容は、「核兵力はこれを持つ国自体の安全保障にしか役に立たない。それというのも、核保有国が友邦であれ、隣国であれ、はたまた同盟国であれ、他国を防衛するために自国のすべてを壊滅の危険にさらすだろうとは信じられないからである」。これはまさにロシアとウクライナの戦争で起きたことです。米、英、仏の核保有3国とNATO(北大西洋条約機構)は、核戦争を恐れてロシアと直接戦うことを避けました。
 日本も国を守るための手段としてあらゆることを考えるべきです。世界3位の軍事大国となるかもしれない日本にとって、戦争は戦後一貫してタブー視されてきました。しかし、中国との間の台湾、尖閣諸島問題、事あるごとにミサイルを打つ北朝鮮、そしてロシア。究極のリスク管理・危機管理を必要とする事態が迫りつつある現状で、日本を防衛するためにどうすればいいのか。国連の安保理が機能不全状態であるがゆえに、日米安全保障条約を徹底的に見直し、早急に日米の役割を詳細かつ明確に決める必要もあります。と同時に、ガロア理論でも分かるように、核の傘論は今となっては幻想に過ぎません。結局は米国まかせで極めて曖昧かつ無責任です。自国は自国民が守るという基本原則は持っていることが必要です。
 岸田文雄総理大臣は、これまでの安全保障の考えを根底から変える安全保障関連3文書(「国家安全保障戦略(NSS)」・「国家防衛戦略」・「防衛力整備計画」)を閣議決定しました。場合によっては先制攻撃ができるとし、戦後一貫してきた防衛政策を突然大転換しました。議論が尽くされていない唐突感があることは否めません。しかし、この無理筋で行くなら、遅かれ早かれ「核保有」や「徴兵制」導入も含めて議論しなければいけない時が来るでしょう。実際は、日本の核保有論議なしでリンケージ問題も安全保障関連3文書、防衛計画を作っても意味がありません。更には、今回の戦争をきっかけに、無人機攻撃機、AIロボット開発が急激に進むでしょう。1982年に米国のレーガン大統領が打ち出した「戦略防衛構想(SDI:Strategic Defense Initiative)」は、夢物語と言われていた計画でしたが、形を変えて復活するかもしれません。防衛には莫大な資金が必要とされます。今回も5年間で43兆円が費やされる予定です。本来、そのような費用を少なくするためにも外交戦略があります。残念ながら、今の日本には外交戦略が全く見えません。
 日本が謳歌できたかつての平和な時代は、当分戻ってこないと考えるべきです。

 コロナによる第8波が年明けの日本を襲っています。まだまだコロナ騒ぎは続くでしょう。

 本年の皆様のご多幸とご健勝、春の暖かさを感じられる1年の始まりになることを心から祈念しています。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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