元参議院議員 田中しげる

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[会議録]田中茂 法務委員会(参議院) 2015年5月14日
会議録 2015/05/14

189-参-法務委員会-11号-2015年05月14日-初版

田中茂君

日本を元気にする会・無所属会無所属の田中茂です。

今日午後、裁判所職員定員法の質疑がありますが、この間その資料を読んでいましたら、かなりいろいろとちょっとお聞きしたい点がありますので、この一般質疑の場を借りて関連の質問をさせていただきます。

まず最初に、今回は判事の増員ということの改正案だったんですが、判事補の現在員についてちょっとお聞きしたいと思っております。

判事補の現在員は、定数千名に対して平成二十六年現在八百三十二名と、欠員状況になっております。

この判事補は過去もずっと欠員状態が続いてきたわけでありますが、司法制度改革によって司法試験合格者が増加した二〇〇六年以降も一貫してこの状態は続いております。

司法修習終了後、一括登録日現在の弁護士未登録者数も増加していると聞いております。

判事補任官数が横ばい状態でありますが、特に不足しているのはどの地域なのか、地裁と家裁ではどうなのか、教えていただけませんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(中村愼君)

お答えいたします。

判事補の欠員は、千人の定員に対しまして、先ほど御指摘ありましたように、平成二十六年十二月一日の時点では百六十八名欠員がございましたが、その後、二十七年の一月十六日に新任判事補百一人を採用したことから、欠員は六十七人程度ということになっているところでございます。

この六十七人程度というのは、判事補の任期が十年であることを考えますと、単年度五、六人というものでございまして、ここ数年の採用実績に照らしましても十人程度の増減があるということ、また出向による出入りがあるということがありますので、欠員がある程度生じるということはやむを得ないことを御理解いただきたいというふうに思います。

全国的な配置の問題でございますが、現在の現在員をバランスを欠くことないよう人員配置をしているところでございます。

判事補が、裁判所権限が行使できる者について、判事ではできない、すなわち判事補でなければできないというものはございませんので、どの地域ということはなく、判事補が特に不足して裁判事務に支障が来しているところはないというふうに承知しているところでございます。

引き続き、充員には努めてまいりたいと考えているところでございます。

田中茂君

定員がもう決まっていまして、それで不足しているというのであれば、どこかに負担を来しているんではないかと、これは当然そう思うわけでありまして、そこで、次の質問をさせていただきますが。

司法改革以前と比較して、先ほども言いましたように、司法試験の合格者数が倍増しておるわけであります。

それにもかかわらず、判事補への採用人数が年間百人前後、先ほどおっしゃっていましたが、推移しておりますが、平成二十五年三月の衆議院法務委員会で、修習生は二千人ほどに増えたが裁判官の採用人数は減っていることに対して、司法制度改革を行って新司法試験に受かった人たちの成績が余り期待できていないという意味なのかとの質問に対し、当時の最高裁判所事務総局人事局長が、裁判官になってほしいと思う者であっても、弁護士事務所の方に行くという者もいるし、その一方で、やはり裁判官として仕事をしていく上では裁判官にふさわしい資質能力を備えた者でなければならないということもあるので、修習生の数が増えたからといって、直ちに判事補として採用する者が増加するという関係にはないと見ているとの答弁をされております。

確かにそのとおりだと思うんですが、ただ合格者が増えたといってもその質が見合わないと、そういう意味に受け取れますので、判事補の欠員が続くという状態に、先ほどおっしゃったんですが、判事補、判事になると。

確かに判事補から判事になる方は相当多いわけですが、一番多いわけですが、そういう中で欠員があるというのは事実であります。

そこで、ほぼ判事全員が判事補から昇格することを考えると、優秀な人材を判事補として確保することが必須であると思っております。

司法試験合格者が増えても、慢性的に判事補、判事など法曹人材が不足しているということであれば、今後の人材確保、優秀な法曹人材の安定的な確保についてはどのような施策を講じる必要があるとお考えなのか、お聞かせください。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答えを申し上げます。

裁判所といたしましては、裁判官としてふさわしい人につきましてできる限り任官してもらいたいと考えているところでございますが、委員も先ほど御指摘ございましたとおり、司法修習生の側におきましても、弁護士としての活躍分野の広がりといった事情もございまして、裁判官としてふさわしい人でも、裁判官への任官を希望する者が大きく増加しているという状況には必ずしもないという事情もございます。

また、裁判官にふさわしい資質能力を備えているということが必須でございますので、結果として現在の採用数で推移しているというところでございます。

判事補にふさわしい資質能力を有する司法修習生が裁判官の職務のやりがいや魅力を理解して任官を志してもらえるよう努力を重ねてまいりたいと考えておりまして、今後とも、司法における需要も勘案しながら、裁判の運営に必要な体制を確保できるよう努力してまいりたいと考えております。

田中茂君

先ほども言いましたように、欠員が生じているということはどこかで負担があるのか、どこかで支障を来しているのかというふうに普通は思いますので、そういう誤解がないようにできるだけの取組をやっていただきたいと、そう思っております。

次に、判事と判事補の人事査定方法についてお聞かせいただきたいと思います。

平成十六年、判事に対する人事評価制度が大幅に変更されておりますが、その導入後十年が経過しております。

そこで、現状の総括をお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

裁判官の人事評価につきましては、平成十六年四月以降、裁判官の資質、能力を高めるとともに、国民の裁判官に対する信頼を高め、人事評価の透明性、客観性を確保するという観点から、裁判官の人事評価に関する規則、最高裁の規則でございますが、に基づいて新しい人事評価制度が実施されてきているところでございます。

この人事評価制度によりまして、人事評価の透明性、客観性が高まっただけではなく、裁判官の主体的な能力向上に資するものとして、制度として定着し、安定的に運用されてきているものというふうに認識しております。

田中茂君

この評価制度、非常に私自身評価しているんですが、ただ、その基本理念の中に透明性について書いてあります。

それは、人事制度に対する透明性の要請が高まってきていることを考慮し、人事評価の仕組み等を、裁判官のみならず国民に対しても明らかで分かりやすいものとしなければならないと。そういうことで、国民は一般的に、裁判官がどのような人物でどのような評価項目でいかに評価されているのか、そういう知る機会は少ないと思います。

そこで、国民に対してどのような取組を、分からせるという意味でどのような取組を行っているのか、お聞かせください。

皆さんのお手元にも資料を配付していますが、その点、御説明をよろしくお願いいたします。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

新しい人事評価制度におきましては、最高裁規則に基づきまして、人事評価を行う評価権者を所属の庁の長、すなわち地家裁所長あるいは高裁長官等と明確に規定をいたしまして、さらに、評価項目を定めて評価基準が明確化されているなど、人事評価制度としての透明性を向上させてきているというところでございます。

このような裁判官の新しい人事評価制度の概要につきましては、裁判所のウエブサイトにも掲載いたしまして公開しているところでございます。

そういう意味においても、国民に対する透明性も向上しているものというふうに考えております。

田中茂君

裁判員制度の法案も次に出てくるんですが、そういうこともあるので、国民にはなるべく分かりやすいシステムというか、どういう取組をやっていらっしゃるのか、その辺は積極的に国民の方に告知できるような体制をつくっておいていただきたいと、そう思っております。

そこで、人物評価制度の変更によって透明性の向上という観点から、評価権者は、裁判官から申出があったときは、その人事評価を記載した書面、評価書を開示するとなっております。

そして、不服がある場合には申し出ることが可能となっております。

このような形での申出、人事評価を記載した書面を交付した例は何件あるんでしょうか、お聞かせいただけませんか。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答え申し上げます。

平成二十六年度の数字で申し上げますと、評価書の開示の申出件数は二百十七件でございまして、当然ながら全部について写しを交付して開示をしております。

田中茂君

不服申出が少ないのは、それにこしたことはないんですが。次に、評価情報の把握として、裁判所の独立に配慮しつつ、多面的かつ多角的な情報の把握に努めなければならないとしておりますが、評価権者は、評価情報の把握の一環として、裁判所外部からの情報についても配慮するとされております。

そこで、実際に外部情報としては、どのような場合にどういった情報を入手し評価に用いておられるのか、お聞かせください。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

裁判所外部からの情報の多くは、訴訟等の場で日常的に裁判官に接しております弁護士からのものでございます。

具体的には、裁判官の法廷等における言動等に関する情報などでございます。

受け付けました外部情報を人事評価に取り入れるに当たりましては、当該情報の的確性について検証する必要がございますので、原則として提供者の名前が明らかにされており、かつ具体的な根拠事実が明らかになっているものに限って活用をしております。

もっとも、個々の裁判の結論の当否を問題にするというものなど、裁判官の独立に影響を及ぼすおそれのあるような情報については考慮することができないというふうに考えております。

田中茂君

今弁護士のような多角的な情報ということでしたが、民間では多角的な評価を行うために上司、部下、同僚などから三百六十度評価というのが一般的には行われております。

先ほどおっしゃったように、裁判官の独立という問題もありますが、評価項目として、事件処理能力、部などを適切に運営する能力、あと裁判官としての職務を行う上で必要な一般的資質及び能力の三点が評価基準として設定されていることを考えますと、評価情報の一つとしてこのような三百六十度評価というのも導入の検討の余地もあるのではないかと思いますが、その点お聞かせいただけませんか。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

裁判官の人事評価に関する規則におきましては、評価権者は、人事評価に当たり、裁判官の独立に配慮しつつ、多面的かつ多角的な情報の把握に努めなければならないというふうに規定をされております。

評価権者であります地家裁所長、高裁長官等は、裁判官、その他の裁判所職員からの裁判所内部の情報のほか、先ほど申し上げましたような裁判所外部からの情報についても配慮するものとされておりまして、それらを活用して評価を行ってきているところでございます。

田中茂君

裁判官、判事というのは極めて重要な人物であるということはもう皆さんよく分かっているわけで、その方を評価するというのはなかなか難しいとは思いますが、いろんな意味での多面的な評価というのは必要だと思っておりますので、その辺検討していただきたいと思います。

そこで、判事補は十年で判事に任命されるわけですが、最高裁の下級裁判所裁判官指名諮問委員会による審査によって再任不適当となった場合は判事に任命されなければ退官しなければならないと、そのように聞いております。

過去十年間に再任不適当者数を教えていただけませんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(中村愼君)

下級裁判所裁判官指名諮問委員会が設立して十年、十一年、正確に言うと、十六年からでございますから、十六年から平成二十六年までの間で合計四十一名の人間が再任又は判事任命が適当でないと答申されているところでございます。

田中茂君

ちょっと私、これ少ないというのか多いというのか、この辺は微妙なんですが、案外この再任不適当という方がいらっしゃるんだなと。

実は、私、この表を見てちょっと驚いたんですが、実は本来なら何でこういう理由になったのかとお聞きしたいところなんですが、多分それはお答えできないと思うんですが、なぜこういうことを聞くかというと、十年に一回こういうことをやられると。

再任不適当だという判事がいると。

そういうことになると、何年かにわたってもう不適当であったということが分かるわけですよね。

そういう意味で、果たしてこの十年というのが再任にとっての審査が適当な期間なのか、そういうことも検討する余地が出てくるのではないかと思っておりますが、その辺よくまた検討していただきたいと、そう思っております。

次に、判事補の外部経験についてお聞きいたします。

昨今の事件の多様化や複雑化を考えると、正確で時宜にかなった判断を行うためには司法以外の分野における知識、経験も積むことが極めて重要であると思っております。

このような観点から、過去十年間にわたり、どのような外部経験が判事補に対しては行われたのか。

弁護士事務所の執務であればその期間、海外留学先、留学先と期間、民間企業、行政官庁、在外公館、その受入先と人数について、資料も皆さんにはお配りしていますが、お聞かせください。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

判事補の外部経験といたしましては、民間企業等への派遣、弁護士職務経験、海外留学、行政官庁への出向等などを行ってきているところでございます。

概要を申し上げますと、民間企業等は、毎年十五人程度を一年間派遣をしております。

弁護士職務経験につきましては、毎年十人程度を二年間派遣をしております。

また、海外留学は、毎年三十五人程度が一年又は二年間の期間派遣をされてきているところでございます。

さらに、行政官庁等には、毎年三十五人程度が、これは行き先によっても期間、長短がございますが、原則として二年間出向をしております。

今後もより多くの若手の裁判官がこれらの外部での様々な経験を通じて、幅広い視野あるいは柔軟でバランスの取れた考え方というものを身に付けることができるよう、新たな外部経験先の確保等も含めた充実というものを検討してまいりたいというふうに考えております。

田中茂君

判事補が外部経験を積まれていくことは大いに結構なんですが、この民間企業等に関する選択というのはどういうふうな選択基準でやっていらっしゃるんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答え申し上げます。

民間企業研修の意義あるいは必要性について御理解をいただいております日本経団連加入の企業等の中から、毎年、業種あるいは業態のバランスなども勘案しながら研修先を選定しているというところでございます。

田中茂君

民間企業の場合は、変な意味での誤解を受ける可能性もあるので、多分ずっと定期的に変えていらっしゃるとは思うのですが、その点はいかがなんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

委員御指摘のように、派遣先の企業等との関係で、公平性と申しますか中立性と申しますか、の担保が必要でございますので、そのようなことも配慮して行き先を変えますとか、あるいは、同一の業界の中で不均衡がないようにするとかそういったようなことも検討しているところでございます。

田中茂君

先ほどの質問にもちょっと関連するんですが、非常に民事訴訟事件などかなり困難化、専門化が進めておれば、当然ながら裁判官も専門性を高める必要に迫られていると思っております。

そういう中で規制環境の変化やサイバー空間の進展などもいろんな意味で変化をしておりますが、今後それに対応すべくどのような施策を考えておられるのか、お聞かせください。

○最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君) 委員御指摘のとおり、近時、社会経済活動の高度化、あるいは国民の権利意識の高揚に伴いまして、事件の複雑、困難化、あるいは専門化というような状況がございます。

今後、こうした複雑、困難化、専門化した訴訟に適切に対応するために、裁判官には専門分野への知見が求められる状況にあるというふうに考えております。

そこで、裁判官の研修を担当いたします司法研修所におきましては、裁判官の自己研さんを支援し、裁判官に専門的な知見を身に付けさせるため、例えば、IT、金融経済、医療等といいました専門的な知見を要する分野をテーマとする研究会を実施しておりまして、こういった研究会には当該分野の専門家を講師として招いて裁判官との意見交換などを行っているところでございます。

今後とも、このような取組を行いながら専門的な事件に対応できる裁判官の確保ということに努めてまいりたいというふうに考えております。

田中茂君

時間が来ましたので、私の質問はこれで終わりにします。どうもありがとうございました。

田中茂君

日本を元気にする会・無所属会、無所属の田中茂です。

午前中の質問に引き続き、また裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に関して質問をさせていただきます。

今回の判事増員の趣旨にもあるように、民事訴訟事件の審理充実、企業の国際的かつ専門的、経済的活動と、また国民の価値観の多様化など、裁判官側にもそれに対応した人材が求められると、そのように言われているわけですが、そこで、弁護士からの判事への任官についてお伺いしたいと思います。

平成三年に発足した弁護士任官制度に基づく弁護士任官が現状では余り機能されていないのではないかと思われます。

それで、先ほど言いましたように、今回の判事増員の趣旨を考えれば、様々なキャリアを持つ弁護士による弁護士任官を強化する意義も大きいのではと、そのように思っております。

弁護士任官制度の現状を見ると、これをより一層活用することも検討すべきかと思いますが、この点について見解をお伺いいたします。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答え申し上げます。

現在の複雑で多様な事件に裁判所が適切に対応してまいるためには、多様な給源から裁判官の人材を得ることが重要でございまして、弁護士として豊富な実務経験を有する優れた法律家が裁判所部内で裁判官として活躍することは有意義なことと考えております。

このような観点から、日弁連との協議を経まして判事の採用選考要領を策定し、裁判所といたしましても弁護士任官の推進を図ってきたところでございます。

今後とも優れた弁護士が多数任官できるよう、引き続き改善に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。

田中茂君

弁護士からの任官者を見ると五十三人ということになっておるんですが、私の資料では。

これじゃ余りにも、判事補からの任官者が千二百七十八人に比べれば余りにも少ないんではないかなと思うんですが、こちらにも弁護士の先生、お二人いらっしゃるんですが、判事になるのがそんなに魅力がないのかもしれませんけど、是非ともそういう意味では弁護士からの任官者を増やしていただきたいと、もう少し増やしていただきたいと、そう思っております。

あと、技能職の人員の大幅削減について質問させていただきます。

今回、技能職について大幅に減員することが法案に含まれております。

庁舎管理業務の合理化で七十一名減となっていますが、これについて具体的にその内訳を教えていただけませんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(中村愼君)

定員の削減を行っております技能労務職員には、庁舎の清掃を行っている庁務員、警備を行っている守衛、電話交換を行っている電話交換手といった職種がございます。

このような技能労務職員の定員の削減は、定年等の退職に際しまして、裁判事務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化等が可能かどうかを判断し、後任等を不補充とした上、問題が発生していない状態が継続していることが確認できた場合に定員の削減を行っているという次第でございます。

田中茂君

昨年度は六十五名減となっておりまして、これまでに百数十名の人員減を図ってきたということですが、今後の人員計画、今からの状況を見て判断されるということですが、これ以上削減してもこれまでの業務に対応していけるという状況なのか、その辺ちょっと確認したいんですが、お聞かせください。

最高裁判所長官代理者(中村愼君)

先ほど答弁させていただきましたが、定員の削減については、退職者数等を踏まえ、外注化等の代替措置の状況も見つつ計画的に実施していく必要があると考えているところでございます。

外注化等の代替措置がどこまで進めていけるかどうかというところについて、現時点で確実なことを申し上げることはできないことは御理解いただきたいと思います。

もっとも、政府において行政の効率化というのが推進されておりまして、アウトソーシングが広い範囲で行われているところは承知しているところでございます。

裁判所におきましても、このような取組状況、そして裁判事務への影響の有無といったことを考慮しながら計画的に実施していきたいというふうに考えているところでございます。

田中茂君

実際、代替のものを進めていらっしゃる、外部発注というかそういうこともやっていらっしゃるということですが、大体コスト削減効果というのはどのぐらいあるとお考えなんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(中村愼君)

例えば清掃業務につきましては外注、あるいは電話交換の場合にはダイヤルイン化といったことが代替手段として考えられるわけでございますが、先ほども申し上げましたけど、例えば清掃業務を外注する場合におきまして、その際に庁務員が減員になるということがある場合におきましても、その職員が行っていた業務をそのまま外部委託するというものではありませんで、庁全体の業務をどうやって合理化、効率化するかということを考えて、全体として外部委託をしているところでございますので、切り出して人員の削減とコスト減というものの対応関係というのを明確に申し上げることは難しいと思います。

とはいいましても、先ほどの庁舎の清掃業務の委託費というのはここ数年大きく変わっておりません。

そういうようなことを考えますと、削減されました技能労務職員の人件費を総じて考えると、トータルとしてコスト削減の効果は出ているというふうに考えているところでございます。

田中茂君

削減するのは、それは合理化のために削減というなら全く賛成なんですが、それによって何らかの弊害が起こったり、また削減効果が余りないというのであれば、一体どういう意味なんだろうというふうになりますので、この辺はしっかりした明確な方針を持ってやっていただきたいと思っております。

そこで、次に、先ほど矢倉先生からもありましたが、成年後見制度の在り方、これは非常に重要なことだと思っております。

今後、成年後見事案、急増していると思っております。

ここ十年、ある意味では制度は着実に普及して、利用件数も増えていると。先ほどほとんど矢倉先生の方から質問がありましたので、ダブるのはこれは避けたいと思うんですが、一点だけ、その中でも矢倉先生がちょっと主張されていた、判事よりも事務方の作業負荷が大きくなっているというのを私も聞いたことがあります。

特に事務作業を行う書記官の定員、これは今回三十四人増員する計画ですが、平成二十六年は四十七人欠員となっておりますが、増員幅は年々減少しています。

これに関してはどういうお考えを持っていらっしゃるのか。先ほども先生の質問にありましたが、お答えはありましたが、もう一度この辺に関してはお聞かせいただけませんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(村田斉志君)

お答えを申し上げます。

委員の御指摘のとおりでありまして、成年後見関係事件の事件数、これは増加しております。

これに対する対応として、裁判所として様々な取組に努めておりまして、書記官の増員のみならず、それ以外の取組も進めておるところでございます。

その例を申し上げますと、大規模庁における専門部署の設置によるノウハウの蓄積ですとか、あるいは事件の開始の際を中心に必要となる情報を的確に収集するために、申立てに関する書類について定型書類を整備しているというようなところもございます。

また、先ほど委員の御指摘で職員の負担というお話もございましたが、職員が制度を利用される方に手続を御案内する際に効果的、効率的に説明ができますよう、制度の内容や手続等を分かりやすく説明したパンフレットやDVDを作成して説明に利用しているというような取組もしております。

それから、そのほかに、不正防止策としての面が強いわけですけれども、申立てのまずスタートの段階で適切な管理のできる弁護士さん、司法書士さんといった専門職の方を成年後見人に選任をしたり、あるいは預貯金等のうち通常使用しない部分を信託銀行に信託するという後見制度支援信託、こういった仕組みを利用して適切な財産管理がされるように努めているところでございますけれども、これも結果的には後見監督の合理化ということにもつながっているものと承知をしております。

裁判所といたしましては、今後も事件数の見込みや新受件数の動向、事件処理の状況等を注視しつつ、的確な事件処理が図れるよう必要な体制の整備に努めていくとともに、あわせまして、成年後見関係事件の適切かつ合理的な運用のために、今申し上げましたようなその他の取組を続けて更なる運用上の工夫も検討してまいりたいと、こう考えております。

田中茂君

ありがとうございます。

高齢化社会が進んで認知症の予備軍も今後増加の一途をたどっていくと思うので、是非ともそういう意味でも成年後見人の監視体制は強化していただいて、それに伴う事務方の作業負荷がないように、そういう体制で是非とも臨んでいっていただきたいと、そう思っております。

次に、女性活用の取組について質問いたします。

女性を積極的に活用していくためには、まず法曹人材の女性の絶対数を増やしていくと、それが重要ではないかと思うんですが、近年、女性判事は二割近くになったと、新規採用の判事、女性判事補は三割近くにも増えていると聞いております。

そこで質問なんですが、最新の状況について教えていただけませんでしょうか。

また、裁判官以外の事務官等で過去十年の事務官人員の推移についても教えていただけませんでしょうか。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答え申し上げます。

まず、裁判官でございます。直近の平成二十六年度におきます裁判官に占める女性の比率は二〇・〇%でございます。

裁判官の給源として大きい司法修習生からの判事補の採用でございますけれども、それに占める女性の割合は近時約三割で推移しているところでございまして、そういったこともありまして、裁判官の女性比率は高まってきているところでございます。

それから、裁判官以外の一般職員に占める女性比率は、二十六年度においては三八・九%でございます。手元にございます数字が過去五年間でございますけれども、この五年間三〇%台後半を推移しておりまして、徐々に増えてきておりまして、直近は三八・九%という状況でございます。

田中茂君

かなり一般職員で増えているというのはすごくそれは大変喜ばしい数字なんですが、例えば、政府が今発表しているようなクオータ制の導入を検討しているのは御存じのとおりだと思っておりますが、女性の活躍を大きな目標の一つに掲げて、各界にも女性幹部職の数値目標の遵守を要求する方向性だと、そのように認識しております。

平成二十二年に政府が策定した第三次男女共同参画基本計画の実施では、裁判官における女性の採用の促進として、女性裁判官採用の二〇二〇年三〇%目標達成に向けて積極的に取り組むように要請をされていると承知しております。

そこで、政府ともちろん最高裁では立場が異なるのは理解しておりますが、目標達成への要請を受けて、現状の女性判事の人数から考えると、二〇二〇年、残りあと五年でありますが、二〇二〇年に全体の三〇%を女性にするという目標についてはどのように考えておられるのか。

また、これに関して、能力、資質を基本とする最高裁の体制の中でクオータ制の導入は困難を伴うかもしれませんが、現在、先ほど確認しておっしゃったように、判事補の採用は三割を超えていますが、女性判事の割合は二割であります。

仮に判事でクオータ制を導入しようとした場合にはどのような問題点が生じるのか、御意見をお伺いしたいと思います。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

お答え申し上げます。

政府から、第三次男女共同参画基本計画におきまして、裁判官における女性の、これは採用というふうに私どもは理解してございますけれども、について、二〇二〇年には三〇%の目標達成に向けた取組を要請されてきているところでございます。

採用に関しましては、先ほども申し上げましたとおり、既に約三割で推移してきているところでございまして、この目標の達成についてはおおむね果たしているというところでございます。

裁判官全体数につきましては現在二割でございますが、若い裁判官の採用数が約三割で推移していることを考えますと、今後、裁判官全体の女性比率は更に高まっていくものというふうに考えているところでございます。

クオータ制に関してでございますが……

委員長(魚住裕一郎君)

時間ですので、答弁は簡潔に願います。

最高裁判所長官代理者(堀田眞哉君)

はい。

裁判官の採用につきましては、それにふさわしい資質、能力を備えた者を採用するということが何より重要というふうに考えてきておりまして、現在の採用の率が約三割になっているということ、他方で修習生の女性割合がそれを下回る二五%前後にとどまるということを考えますと、クオータ制の採用についてはそういった事情を慎重に検討していく必要があろうかというふうに考えております。

田中茂君

ありがとうございます。

最後にワーク・ライフ・バランスについて質問する予定でしたが、一点だけ、この一名という数字、先ほども矢倉先生おっしゃっていましたが、余りにもこれちょっとおかしな数字じゃないかなと思っておるので、このワーク・ライフ・バランスの推進に考えて、余りにも少な過ぎるし、変な誤解を与える可能性もあるので、この辺の説明を一点だけ短くちょっとしておいていただけませんか。

委員長(魚住裕一郎君)

簡潔に。

最高裁判所長官代理者(中村愼君)

最高裁の事務官約八百人のうち、この数年間の産前産後休暇の時間、育児時間等の取得実績を通算いたしますと、それが合計約一人当たりの勤務時間になるということでこの一名の増員をお願いしたというところでございます。

田中茂君

ありがとうございました。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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