元参議院議員 田中しげる

しげるレポート | 田中しげるの活動報告ブログ

アンチエージング
レポート 2017/09/04

<人は何歳まで生きられるのか>

 人はいくつまで生きられるのか? ラジオで根来秀行医学博士の話を聞きながら考えていました。

 中曽根康弘先生は今年の5月27日に99歳を迎えられました。先生のようにお元気で、いつまでも活躍されている姿を拝見しますと、私も元気で頑張らなければと発奮させられます。実は私の父も99歳の長寿を保ちましたので、なおさらその思いを強くします。
 それにしても日本人の平均寿命が男女とも長く、世界有数の長寿国であることはよく知られるところです。2017年3月に発表された厚生労働省の平均寿命のデータによれば、日本人の平均寿命は女性が86.99歳、男性が80.75歳と過去最高となりました。では、このまま寿命が延び続けて平均寿命が100歳になるような時代は来るのでしょうか?

 2016年の秋に英国の科学誌『ネイチャー』に発表されたアメリカのアルバート・アインシュタイン医科大学研究グループの研究結果によれば、人間の寿命はどんなに延びても115歳ぐらいが限界、ということのようです。
 これまでに公式記録の裏づけがある世界の最高齢者は、1997年に死去したフランス人女性のジャンヌ・カルマンさんで122歳164日。日本人ではやはり女性の大川ミサヲさんの117歳27日です。実際に100歳以上の人は日本でも6万1568人(2015年調べ)いますが、110歳以上となると世界でも100人いません。つまり100歳と110歳との間には大きな壁があり、115歳以上となるとさらに高い壁があるようです。現状を見る限り115歳ぐらいが限界であり、先に挙げた研究結果は至極妥当なのかなと思えます。
 しかし、それは現状分析に過ぎず、今後の科学の発展がもたらす限りない可能性がまったく考慮されていない、と反論する科学者も多いようです。ではそういう科学者は何歳ぐらいまで生きられると考えているのでしょうか?
 実はこれにもい諸説あり、300歳、500歳と言う人もいれば、ここ20年以内に不老長寿が手に入るようになると予言する科学者もいます。それが米国のレイ・カーツワイル博士です。博士によれば、コンピューター技術と遺伝子工学の加速度的な進歩によりナノ技術が発達し、ナノロボットが赤血球に替わり、その何千倍の 効率で役割を果たすというのです。昔のSF映画の『ミクロの決死圏』のような話で、現在ではまだ夢物語の域を出ませんが、そうなる日は近いということです。また寿命500歳説は、先年グーグルの投資部門が発表したもので、そのような研究に投資しているとのことです。

 現実的な発見もあります。これは米国の製薬会社が、テロメラーゼという酵素を 活性化する物質を発見したという報告もあります。細胞の先端にはテロメアという部分があり、細胞が老化すると短くなります。長寿の人のテロメアが長いことはよく知られています。テロメラーゼはこのテロメアを長く伸ばす酵素で、テロメアを活性化することで細胞も活性化され、老化を止める効果が期待できるということです。100年も200年も寿命を延ばすというわけではありませんが、テロメアを伸ばすことにより、110歳の壁を崩すことは可能になるかもしれません。

 1999年に映画化されたスティーヴン・キング原作の『グリーンマイル』には、キリストの生まれ変わりと思しき死刑囚となった黒人の大男から、トム・ハンクス演じる主人公と刑務所のネズミが長い命を与えられます。映画のラストには、その後の主人公とネズミが出てきます。黒人が死刑になってから6、70年経っていて、そのシーンでは確かトム・ハンクス演じる男は107、8歳のはずです。しかし男は5、60代のように描かれており、ネズミも元気に走り回っていました。

<不老不死>

 不老不死は、人類が誕生してからの夢といえます。

 秦の始皇帝が不老不死の薬を探したのは有名な話ですが、権力者といえども死の定めを免れることは出来ません。釈迦は人間の4つの苦しみを四苦八苦の四苦である生・老・病・死としています。人は生まれた以上死ぬのが宿命であり、それ故どのように生きるか、またどのように死ぬのかが問題となります。仮に300年生きるとしたら、徳川時代を生き続けてもおつりがくるわけで、命に対する考え方が根本的に変わってしまうでしょう。とはいえ最後は死ぬのですから、本質は現在の80歳や90歳と 変わらないともいえます。不老不死はともかく1日でも長く生きたいと思うのは命が限られているからであり、誰しもが思うことでしょう。
 江戸時代の浮世絵師の葛飾北斎は、当時としては極めて珍しい90年という人生をひたすら描くことで過ごしましたが、『富嶽百景』のあとがきに次のように記しています。
「九十歳で奥儀を究め、百歳になればまさに神妙の域に達するものと考えている。百数十歳ともなれば一点一画が生き物のごとくになるであろう。願わくば長寿を司る君子よ、わが言葉が偽りならざることを見届けたまえ」そして90歳の死の床で「天が私にあと10年、いや、もう5年長生きさせてくれたら、本当の絵描きになってみせるものを」との言葉を残したと伝えられています。
 長寿といってもひたすら時間をつぶすだけの人生ならつまらないでしょう。北斎のように目標や使命感を持って、それを遂行するための長生きであって欲しいと思います。人間の一生にとって大切なのは時間の長さではなく、いかに充実した時間を送れるかではないでしょうか?

 さて、冒頭に挙げた根来秀行博士です。根来博士はハーバード大学医学部内科客員教授、東京医科歯科大学 医学部教授など多数の肩書きを持つ医学博士であり、専門は内科学、睡眠医学、抗加齢医学、長寿遺伝子、遺伝子治療などで、アンチエージングの第一人者といわれています。テレビ出演や、本もいろいろ出されていますからご存知の方も多いと思います。
 アンチエージングは長生きというより、若さを保つ意味あいが強いのですが、結果として長寿に結びつくのではないでしょうか。では、若さを保つのには何をすればいいのでしょう。根来博士が指摘しているポイントをいくつか挙げておきます。

■成長ホルモンの分泌を多くする
ハーバード大学などの研究によれば、運動をしている人はアンチエージングホルモンである成長ホルモンの分泌が高いそうです。成長ホルモンは7割が睡眠中に、3割が運動時と空腹時に分泌されます。したがって日常の運動、ただしこの運動は有酸素運動ではなく、無酸素運動を指し少しハードな運動ということになりますが、それが必要になります。また睡眠の基本は7時間睡眠。長寿の人の睡眠時間は7時間が最も多いそうです。それより長すぎるのも短すぎるのも心臓病の発症率や、死亡率が高くなるとのことです。

■血管年齢を若く保つ
血管には動脈、静脈、毛細血管の3種類があります。それぞれが大切な役割を持っていますが、医学研究者が注目しているのが毛細血管だそうです。毛細血管は全身に巡らされていて、全血管の99%を占め、全長は10万km、 地球2週半分になります。これらの血管年齢を若いままに保てば、いつまでも細胞に栄養が行き渡ることになります。そのためには、

1.適度な有酸素運動の必要性 ─こちらは軽い運動でいいようです─
2.青魚(サンマやイワシ、サバなど)をよく食べ る ─青魚に含まれるDHC、EPAが血流をよくし、動脈硬化を予防します─
3.ぬるめのお風呂に入る ─血行が良くなります─
4.静脈マッサージ(静脈の流れをよくします) を実行する

ことがいいようです。

アンチエージングに必要なことは、ほかにもいろいろありますが、要するに
・病気にならない
・できるだけDNAを傷つけないようにする─紫外線、放射線、喫煙、活性炭素などはDNAを破壊します─
・ビタミンCやビタミンEなど抗酸化成分を摂取する
・ストレスをためない
・適度な運動をする
・食べ過ぎない
という極めて簡単なことに尽きるようです。

 人間は毎日の生活に流されていきます。健康な人は、ついその生活が健康によって成立していることを忘れてしまい、健康の有難味を感じなくなってしまうものです。病気になって初めて、健康の大切さを知る人も多いのではないでしょうか。根来博士のアンチエージングも日常の過ごし方次第ということがよくわかります。

 人生は毎日の生活の積み重ねです。生き甲斐(使命感)を持ち充実した毎日を送れば、それが長生きにつながるのだと考えています。

日本に生まれ育ち、一生を過ごしたいと言える「誇りのもてる国」
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